歯ぎしり・食いしばり

歯ぎしり・食いしばりについて

 歯ぎしり・食いしばりは、歯並びや噛み合わせに悪い影響を及ぼすため悪臭癖(ブラキシズム)と呼ばれ、主に就寝時の眠りが浅い時『レム睡眠時』に無意識的に行われています。 ヒトは寝ている時『ノンレム睡眠』と『レム睡眠』が交互に行われています。

睡眠の最初はまず『ノンレム睡眠』から開始されそれが約90分ほど行われます。この『ノンレム睡眠』では脳を休めたり、成長ホルモンが分泌され体内組織を修復したり、身体の免疫機能を向上させるなどの働きがあります。  『ノンレム睡眠』の次に行われるのが『レム睡眠』です。  この『レム睡眠』は浅い眠りと言われており、脳は活動した状態になります。この『レム睡眠』では思考の整理や記憶の定着を行なっています。

歯ぎしり・食いしばりの原因

歯軋り・食いしばりはこの『レム睡眠』のタイミングで行われており、脳が活動した状態ですが、無意識下にて思考の整理や記憶の定着を行うことで生じるストレス発散をするために咀嚼筋の咬筋に力が入っているために行われています。

歯ぎしり・食いしばりによる歯や身体への影響

  • 歯や骨への影響
  • ヒトの咬合力(噛む力)は起きている時では、自分の体重ほど(男性だと約70kg、女性だと約50kg)と言われています。それが就寝時では約100〜250kg程度に負荷が増幅され、起きている時の2〜4倍程度に増幅されると言われています。それだけ増幅された咬合力(噛む力)ですと歯が欠けたり、割れてしまったり、歯を支える歯槽骨が影響を受けて歯周病が進行してしまったりと言う悪影響が生じてきます。

歯ぎしり・食いしばりの種類と特徴

  1. グラインディング(歯ぎしり)
  2. 無意識に上下の歯を左右前後に擦り合わせてる習癖。ギリギリと音がするので同居のご家族からの指摘で判明することがあります。

  3. クレンチング(食いしばり)
  4. 無意識に上下の歯を食いしばってしまう習癖。音がしないことが多いので同居のご家族も気が付かないことがあります。

  5. タッピング
  6. 無意識に上下の歯をカチカチと噛み合わせる習癖。カチカチと音がするので同居のご家族からの指摘で判明することがあります。3つの中では比較的少ない習癖です。

歯科医院で出来る歯ぎしり・食いしばりの改善治療

浜中デンタルクリニックで行っている歯ぎしり・食いしばりを緩和するための治療法には夜間就寝中につけるマウスピースとボツリヌストシキン治療があります。マウスピースは保険で治療可能で、ボツリヌストシキン治療は保険外の自費治療となります。

ボツリヌストキシン製剤による治療

ボツリヌストシキン製剤とはボツリヌス菌由来のタンパクを分解精製したもので、脳から筋肉を動かす命令を伝える神経伝達物質の『アセチルコリン』の分泌を抑え、筋肉の収縮を抑える効果があります。当院ではあごの筋肉の『咬筋』にボツリヌストシキン製剤を注射することによって筋肉が細くなり、それによって咬合力を弱め、歯ぎしり・食いしばりの際に加わる力を弱める治療を行なっております。

咬筋が細くなることによってエラの輪郭も改善し、ほっそりとした小顔効果が得ることもあります。また咀嚼運動に連動している『側頭筋』(こめかみのところにある筋肉)も緩和されて頭痛の緩和作用も一部で効果が認められています。ボツリヌストシキン製剤の安全性はアメリカ国立衛生研究所で実証されており、アレルギー検査も副作用もなく安全に治療を受けていただけます。

効果が持続する期間と治療のおすすめ頻度

ボツリヌストシキン治療の効果は平均2〜3日後から効果があらわれます。効果のピークは注射後約2週間前後です。これらの効果は約4〜6ヶ月持続します(効果の持続には個人差があります)。その後も継続的に治療を受けてる事で、咬筋への効果が持続する期間が長くなっていくので、継続的に約6ヶ月ごとに治療を受けて行くことをおすすめしております。

ボツリヌストキシン製剤の治療の注意点と治療を受けれない場合

[注意点]

  1. 注射後直後は激しい運動やサウナ、飲酒は控えて安静にお過ごしください
  2. 注射後はお顔のマッサージはお控えください
  3. 念の為3ヶ月以内に妊娠予定の方は注射をお控えください

[治療を受けれない方]

  1. 妊娠中または妊娠している可能性がある方、授乳中の方
  2. 緑内障の方
  3. 慢性呼吸器疾患の方
  4. 抗血小板剤、抗凝固剤等を服用中の方
  5. 神経筋伝達に影響を及ぼす可能性のある薬剤を服用中の方(筋弛緩剤、〈スペクチノマイシン、アミノグリコシド系、ポリペプチド系、テトラサイクリン系、リンコマイシン系〉抗生剤、抗痙攣剤、抗コリン剤、精神安定剤、ペニシラミン、キニジン、カルシウム拮抗剤などで作用増強の可能性)
  6. 65歳以上の高齢者の方
  7. 未成年の方

ボツリヌストキシン製剤の治療の流れ
について教えてください。

  1. 医療面接(問診)にて詳しく現在までの症状や咬筋の触診をして状態を詳しくうかがいます。
  2. レントゲン撮影をしてお口の状態を確認し、全身状態や既往歴などを伺って治療が問題ないか確認します。
  3. 術前の顔貌の写真を撮影します
  4. 注射時の痛みの軽減のために、約10分ほど左右の咬筋にアイスノンを置きます。
  5. 実際に左右の咬筋にボツリヌストシキン製剤を注射して完了です。

ボツリヌストキシン製剤の料金

両顎(片方25単位)50単位 33,000円
※当院ではボツリヌストキシン治療は噛み合わせ治療の一環で行なっておりますので、ボツリヌストキシン注射だけは行っておりません。必ずレントゲンなどのお口の検査を受けて頂く必要がございますので、ご理解の程宜しくお願い致します。

治療イメージ

マウスピース(ナイトガード)による治療

歯ぎしりや食いしばりから歯を守るために夜間就寝時にマウスピース(ナイトガード)を使用してもらいます。マウスピース(ナイトガード)を使用することで歯にかかる力を分散して歯が欠けたり割れたりすることを防ぐ事が出来ます。またマウスピース(ナイトガード)を使用することで顎関節症や咬筋の緊張を解消したりする効果もあります。

マウスピース,ナイトガードの種類

[ソフトタイプ]

マウスピース

柔らかい素材なので着け心地が良いのですが耐久性があまりないのですぐ穴がある場合があります。またフィット感が薄いので寝てる時に外れる可能性があります。

[ハードタイプ]

マウスピース

硬い素材なので耐久性がありフィット感も良いので寝てる時に外れる可能性もほとんどないです。ソフトタイプと比較すると若干タイトな着け心地なのでまれに窮屈に感じる方もいます。

マウスピース(ナイトガード)の治療の流れ

  1. 医療面接(問診)にて詳しく現在までの症状や咬筋の触診をして状態を詳しくうかがいます。
  2. レントゲン撮影をしてお口の状態を確認し、全身状態や既往歴などを伺って治療が問題ないか確認します。
  3. マウスピースの型取りを行います。
  4. 約一週間後にマウスピースが出来上がってきますので取り扱い方などを説明して完了です。

市販のマウスピースとの違いはなんですか?

スポーツ店などで販売されてるマウスピースはご自身でお湯でゴムを溶かして柔らかくしてつくるので適合が悪くて違和感がかなり強い場合があります。それと比較して歯科医院で作製するマウスピースは国に保険治療で認められた方法と素材で作製するのでフィット感がとても良いので、効果も実証されている治療器具です。

マウスピースの洗い方と保管方法について

マウスピース

マウスピースを使用後は流水下でよく洗ってください。硬い歯ブラシなどを使用するとマウスピースに傷ができてそこから雑菌が繁殖してニオイや変色の原因になるので避けてください。60度以上の熱湯だと変形しますので煮沸は禁止です。

また市販のマウスピース洗浄剤が販売されていますので当院では最初にマウスピース洗浄剤のサンプルをお渡ししております(在庫がない場合もございます)。保管方法については洗浄後によく乾燥させてから専用のケースにしまってください。当院ではマウスピース一つにつき無料で一つケースを差し上げております。(色はお選びいただけません)